かつて、ある小さな町に「逆さ鏡」と呼ばれる古い手鏡が伝えられていた。この鏡の特徴は、自分の姿ではなく「逆さになった別の自分」を映し出すこと。しかもその映り出る姿は、現実の自分の行動とは逆のことをしていると言われている。
例えば、ある時、持ち主が笑顔で鏡を見たとする。すると鏡の中の自分は涙を流している。また、鏡の前で涙を流したとき、その中の自分は幸せそうに笑っている。これにより、この鏡を持っている人は、自分の感情や行動の反対の結果を事前に知ることができるとされていた。
しかし、この鏡にはある警告が伝えられていた。それは「逆さ鏡を持ち続けると、やがて現実と鏡の中の世界が交換される」というもの。確かに、何年もこの鏡を所有していた人々は、ある日を境に突如として逆の性格や行動を取るようになったと言われている。
今、この「逆さ鏡」の行方はわからない。しかし、時折、古い市場やオークションでこの鏡に似たアイテムが出品されることがあり、それを手に入れた者たちの中には、その後、人生が大きく変わる者もいると囁かれている。